昨日、中近東はトルコで流行っている香水の香料を製造しているというスペインにある香料会社を訪問してきた某香料会社の方と話しをする機会があった。興味津々、その流行っているという香りを嗅がせてもらったのだが・・・。ン〜まさしくこれぞ中近東!という感じでボディがかなりしっかりしていて残香性も相当なものでした。エキゾチックでどちらかというと香油系と云った方が分かりやすいかもしれません。ただ、筆者が十何年前?に渋谷センター街でショップをやっていた頃、日本に入りはじめていたインド系などの香油とは少し趣きが違うような感じです。洗練されたマッタリ感のようなものがあって、スマートなセクシー感が漂います。  
 昨今の日本のフレグランス市場に溢れる香りに慣れてしまっていた私にとってはとても新鮮に感じました。が、しかし・・・このような香りは日本では中々売れないのが実情です。
 先日は同じ中近東のUAEはドバイから弊社の商品へのオファーがありましたが、その香りは比較的軽い感じの香りなのですが、この様な香りがドバイ辺りで売れるのかと疑問を持ちながらも、メールのやりとりを幾度かしたのですが、結局コストがかみ合わずにこの話しは宙に浮いたままとなっています。また、今後中国の方でも弊社の商品を販売するプランが進行中ですが、聞くところによると中国人は日本人より香水を使う人が多いとのこと。それも圧倒的に女性が多く、特に、かのカラオケボックスなどで働くホステスさん達は、それこそ強烈なカオリを放っているとの事で、男性で使っている人はまだ本当に少ないようです。最近の日本ではあまり男女差無く使う人が増えているようですが、やはりこれも欧米化の一つなのでしょう。
 しかし、現在のように色々な国の人が自由に行き来するようになってくると、香りにも国民性のようなものがある事が再認識させられます。ただ、この場合、ポイントとなるのは、「香り」の嗜好性はもちろんですが、どちらかと云うと「香り」に対する“考え方”や使う“動機”や“習慣”などが大きく関与してくると思われ,ます。これは先述したようにトルコで売れている香りを日本に持ってきてもそのままでは多分売れないでしょう。何らかの理由や背景。そして“仕掛け”のようなものが必要になってくるはずです・・。“仕掛け”とは「スマートでセクシーな香り」というイメージを言葉以外に“視覚的”なものに置き換えたりする手法のことです・・。
 現在巷に溢れる並行輸入フレグランス商品の売場へ行くと必ずと云っていいほど掲げてある「○○さんご愛用」とかのPOP・・。これらの販売スタイルや現象はこのことを端的に捉えているのではないでしょうか。中にはどう考えてもこの香りにこの人(キャラクター)は合わないなよなァ・・・と云うような人もいるようですが、そこはイメージの世界でもあり、香りとは視覚には写らない捉えどころの無い“シロモノ”のゆえんでもあります。この視覚には写らない“シロモノ”をどのように表現していくかと云うのが香水ビジネスのひとつの醍醐味でもあるのですが・・。
 ちなみに弊社の商品は新潟空港の売店などにも置いてあるのですが、新潟空港はその立地からしてもロシア系の外人が多いそうです。透けるような白い肌の究極的美人も多いのだそうですが、日本で売れているようなカオリは軽過ぎるようであまり人気がなく、やはりそれなりに“濃い”香りに人気があるそうです。
 中国の経済発展ばかりがクローズアップされる影で、ロシアの今後の台頭には目が離せません。元々「ウォッカ」という高濃度で良質のアルコールを生産する国でもあります。あとはファッション性の問題かと思いますが、何しろあの透けるような白い肌と大きな瞳です。その素地は既に十分持ち合わせています。
 話しは変わってお隣の韓国はどうでしょう。韓国には「エスポワール」という国産ブランドの香水がありますが、ボトルデザイン等は実はフランスでやっているのだそうです。その韓国もやはりフレグランスシーンは女性がリードしています。男性は純朴なタイプの人が多いせいか、若い人を中心に香水などに興味を持つ人は増えてはいるものの、そのスピードや数はやはり女性にはかなわないようです・・。でも焼肉と香水の混じったカオリって想像するだけでもちょっとツライかなァ・・。でも現在、韓国は世界的にもコスメ容器等の重要な生産拠点でもあるのです。
 さて南へ下って少し暖かいところへ行ってみましょう。そう、そこは台湾ですが、台湾でまず目につくモノ、それはバイクです。それも50ccクラス位のスクーターです。歩道を埋め尽くす程のスクーターがビッシリと並んでいます。国土事情にも影響されているのでしょうか・・。若い人の移動手段は男女問わず、このスクーターが主流です。
 そして、その相乗効果とでも云うのでしょうか・・、やたらとマスクが売れるのです。理由は簡単です。それは排気ガス対策です。亜熱帯特有の熱射の中を縦横無尽に舞う排ガスを避ける為、マスクはバイク族にとって無ければならない必須アイテムなのです。中にはマスクのデザインや機能などを競う人達もいて、マスクのファッション化では台湾が世界で一番ではないでしょうか・・。
 そして、台湾と云えばもう一つ。古くからある“ビンナン”という木の実があります。確か十年位前までは街頭のあちこちでよく売っていたのですが、最近めっきりと少なくなりました。
 ガムのように口の中でクチャクチャ・・と噛むと赤い樹液が染み出ててきて独特の「薫り」が広がります。瞬間的な興奮作用があるとか云われていて、確かに体験してみると心臓の鼓動が早くなったり、眠気が消えたりします。最近は高速道路インター近くでミニスカートをはいた女の子が“ビンナン”を売ってたりしますが、これは、長距離運転手などが眠気を予防する為に“ビンナン”を購入するからだそうです。そして女の子のミニスカートは一種のユニホームのようなもので、その方が売上げが上がるからだそうです。筆者はこの“ビンナン”を日本でも売り出せないかと考えたりした事もありますが、検疫を通関できるかどうか今のところ分かりません。
 そんな台湾のカオリ事情は日本の状況と一番近いのではないでしょうか。ブランド志向でもあり、平行品も結構多いし、価格もそれなりに安くて、専門店や化粧品との複合店もあります。ちょっと違うのはコピーっぽい商品が平然と売られていたりするところでしょうか。例えば「CHANEL NO,5」→「CANNEL NO,5」とロゴ表記されパッケージのデザインも同じだったりします。米国のレプリカフレグランスとはちょっと違う“ギャグ”が効いているところが妙に微笑ましかったりしてしまいます。シチュエーションとしては東京で云うところの上野のアメ横的なムードが漂います。

 さて、今回は断片的かつ主観的に近隣国を交えた香り事情を記してきましたが、日本のフレグランス商品をほとんど見かけることが無いのはどういうことでしょう。化粧品や車、精密機器などは国によっても違うけど、それなりに置いてあるのに・・・。

その答えがわかりました・・。
日本には化粧品のメーカーはあってもフレグランスのメーカーが無かったのです。
今、気づきました。